近年、医療技術の進歩によって小児の死亡数は大幅に減少しました。しかし同時に、日常的に医療ケアを必要とする小児が増えているのが現実です。
厚生労働省の調べによると、重度の知的障害と肢体不自由が重複している医療依存度の高い重症心身障害児は4.3万人(2012年調べ)、NICUに長期入院後人工呼吸器や胃ろうなどの医療ケアが日常的に必要な医療的ケア児は1.8万人(2016年調べ)存在しています。
そして、医療ケアを必要とする小児やその家族の多くが、自宅で暮らすことを望んでいます。
そうしたニーズに応えるのが、小児在宅医療です。
小児在宅医療を必要とする病児の特徴として、人工呼吸器や在宅酸素、経管栄養などの医療機器を使用しており、人工呼吸器を装着していなくても気管切開をしているために痰の吸引が必要であるなど、日常的にケアが必要である場合が多いです。さらに、こういった病児達は成長するに従って重症化したり2次的障害を併発することもあり、病状が変化していくことも特徴の一つに上げられます。
適切な小児在宅医療を提供するには、複雑な病態を把握し、24時間体制でサポートできる医療体制をつくることが大切です。そのため小児在宅医療に携わる看護師には、高度な知識と技術が求められます。
政府も小児在宅医療に関する整備を進めているものの、看護師や医師は必要な数までに達しておらず、小児在宅医療に対応できる医療機関も足りていないのが現状です。そのため、これらの充実が急務であると言われています。
また、小児の成長を支える医療、福祉、教育の分野での包括的な支援と連携も、今後の課題の一つです。
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